ウルトラジャンプ3月号 新線 西部軌道感想

今月はSBRが休載なので、正直ウルジャン買う意味ねーなと思っていたんですが、伊藤悠先生の読みきりがディ・モールト ベネ(非常に 良し)でした。
マンガを読んで「…………っはぁぁぁぁ」と心地良いため息が出たのも久しぶりです。

舞台は、近未来(というかパラレルワールドかな。あんまり未来的要素はないので)の東京。
「外郭」によって分断され打ち棄てられた東京西部で、貴重な物資や人を運ぶ西部軌道、通称西武線を取り巻く人々の物語。

皇国でも存分に発揮されていましたが、伊藤先生は「こいつは一筋縄ではいかないぜえ」と思わせるキャラクターを描くのが本当にうまい。
そして鉄分アクション分おっさん分も多め。ラスト直前の展開には作中キャラ同様に衝撃を受けましたし、どん底から這い上がる人間の力強さもあって男の子的な浪漫に満ち溢れた読み応えのある作品になってます。

それに加え皇国では不足気味だった女の子分も追加されているのですが、これがまたチョイブサカッコ可愛いという今までに出会ったことが無いタイプでして、不思議な魅力があります。

マンガの世界では明確なブサイクキャラとして描かれない限りは大体可愛くなっちゃうので、たまに容姿について悩むみたいなエピソードが出てきても「はぁ?何言ってんの?」てなことも多いわけですが、伊藤先生はその辺の書き分けが上手いというか、いい意味で生々しいですよね。
作中で「美人」と称されるキャラは本当にほかのキャラと一線を画す美人として描かれますし、今回の西部軌道のヒロインの一人「しおちゃん」こと今川潮里なんかも設定にあった容姿をしていると思います。
しおちゃんは西武線の荒事(それも接近戦)担当でもあるし、何もかもをなくした西部で生まれ育った子なので(作中にはそのことは描かれてないけど、あの舞台設定からすると十中八九間違いはないかと)、やはり美少女じゃだめだと思うんですよ。とはいえ読者に愛される造形である必要もあるわけで、その点において絶妙な顔立ちなんじゃないかと。
わかりやすい美少女ではない代わりに、といっては何ですが「恋する乙女」補正で内面の可愛らしさが前面に出ているので、「しおちゃん可愛いよしおちゃん」となるには十分ですしね。

てなわけでSBRが無い絶望を補うには十分な作品だったわけですが、なにやら連載化するっぽい情報も。
読みきりとして相当の完成度を誇っているので、正直すでに満たされてしまった感じはありますが、設定的にはいくらでも展開できるだけの懐の深さを持ち合わせているので、連載化を素直にwktkしたいと思います。